投稿日:2025.10.24 最終更新日:2025.10.24
「宇宙から考えるサステナ経営」 UchuBiz編集長 藤井涼氏紙上インタビュー
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NECSUS STAFF
年率9%で急成長の宇宙市場。10年後の2035年には270兆円規模(2023年の約3倍)になるといいます。
8月2日土にNECSUSが開催したオンライン特別セミナーは、「ロケットだけじゃない 宇宙ビジネス最前線 ~宇宙ゴミ対策や衛星データで守る地球環境~」と題し、宇宙ビジネスのトレンド、そして「宇宙×環境」をフィーチャーした話を特別に盛り込んだものとしました。
講師の藤井涼氏は宇宙ビジネスへの参入を後押しするメディアUchuBizの編集長。
「宇宙って、地上何kmから?」といった基本的な事柄から(答えは100km)、最新の動向、特にイーロン・マスクやジェフ・ベゾスなど、IT業界の巨人の台頭や米中競争の過熱、ポストISS(国際宇宙ステーション) を睨んだ民間企業の動き等、詳細な紹介がありました。
以下、セッション後の紙上インタビューをお届けします。
Q1:宇宙産業(ビジネス)は、人類の最先端の知識や技能をもとに推進されている点で、環境にも配慮した取り組みが多いと聞きますが、具体的には?
藤井:従来の宇宙開発は、むしろ宇宙ゴミを大量に生み出しながら発展をしてきました。現在は環境に配慮した方向に変わりつつあり、打ち上げ後に使い捨てずに戻ってくる再使用型ロケットや、軌道上に飛ぶ無数の宇宙ゴミをロボットアームやレーザーで除去するための宇宙機の開発が進められています。
Q2:宇宙産業(ビジネス)の今後の広がりは、どのような分野で顕著にみられるでしょうか?現在の規模や今後の成長についても教えてください。
藤井:現在は衛星サービスが大きなシェアを占めていますが、今後は宇宙空間を使った実験やエンタメ、月や火星などの探査領域での発展が期待されています。世界経済フォーラムによれば、2023年は6300億ドルだった世界の宇宙市場は、2030年に1.1兆ドル、2035年に1.8兆ドルまで成長すると期待されています。
Q3:宇宙産業(ビジネス)と私たちの普段のビジネスとは、どのようにかかわってくるでしょうか?
藤井:分かりやすいところで言えば、やはり衛星データ活用になります。地球観測衛星のデータや通信衛星を活用して、農業やインフラ点検、防災、離島などでのデジタル教育などに活かせます。ただし、まだ宇宙を飛んでいる衛星の機数が少ないため、十分な頻度で撮影ができていないことが課題です。将来的には10分ごとの準リアルタイム撮影も可能になると言われており、そうなれば地上のリアルタイムデータとのシームレスな連携などもできそうです。
Q4:宇宙ビジネスに従事する方々や、目指す方々にとって、環境経営を学ぶ必要性をどのように考えていますか?
藤井:宇宙産業の中でも特に「衛星」は、地球のさまざまなデータを広域かつ定点で取得できる数少ない領域であり、環境改善に役立てる義務があると考えています。すでに衛星データを使って、森林伐採を監視したり、温室効果ガス排出量を把握したり、海洋汚染を早期発見したりするといった取り組みが各国で進んでいます。
ありがとうございました。