
2025.07.08
【NECSUS Green File】インタビュー ピア・エルキンへイモ (May 7, 2025)
-本日は「NECSUS Channel」にご参加いただき、ありがとうございます。まずは自己紹介をどうぞ。「ありがとうございます。ピアと申します。ノルディック・ナノという会社で、パートナー兼投資家対応およびESG担当をしています。ノルディック・ナノでは、薄型の太陽電池フィルムやソーラーパネル、それから無害な金属でできた固体塩電池などを製造しています。太陽エネルギーを効率よく吸収・活用しており、現在主流のシリコン製やペロブスカイト系の太陽電池に比べて、2倍近くの効率を実現しています。合わせて、LUT大学の理事も務めています。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」、特に目標13「気候変動対策」に貢献していることで、世界的に知られている大学です。私自身も、気候変動関連の投資を通じて、経済システムをより持続可能なものにすることを目指し、アドボケイト(提唱者)としても活動しています。」 -素晴らしいですね。大学では教えていらっしゃるのでしょうか?「いえ、現在は大学では教鞭をとっていません。理事としての関わりのみです。ただし、スタートアップへのコーチングは行っています。特に「クライメートテック(気候技術)」や「デジタル×気候テック」の領域ですね。私のキャリアはもともとデジタルやAIの分野から始まっているので、その知見を活かしています。サステナビリティとAIをどう融合するかという話も、とても面白いトピックですね。」 -ビジネスとしての成長も感じていますか?「はい、確実に成長していると感じます。ただし、それには3つの要素が必要です。1つ目は、「これはシステム全体の変化だ」と私たちが理解すること。つまり、消費者として、市民として、私たち一人ひとりが行動を変える必要があります。2つ目は、企業間取引の世界です。企業が責任を持つ必要があります。そして、すでに多くの企業が短期間で地球にとって非常に大きな貢献をしています。3つ目は、政府の役割です。政府は市民だけでなく、企業や社会のあらゆる主体に対して、行動を促すインセンティブを提供することができます。これは、次世代のために美しい地球を残すためにも欠かせません。」 -サステナビリティを促進する上で、どんなリーダーシップスタイルや組織文化が有効だとお考えですか?「北欧の国々に共通しているのは、フラットな組織構造です。特にスタートアップのような環境では、肩書きよりもアイデアが重視されます。とはいえ、北欧にも伝統的な組織は存在しています。ここヘルシンキでもそうですが、そうした組織では「誰が考えるリーダーになるか」が重要です。時には、取締役会からそうしたリーダーが生まれます。最近の傾向として、高いポジションに選ばれる人たちは、単なる経営のプロフェッショナルではなく、「サステナビリティへの理解が深い人」が多くなってきています。なぜなら、それが競争優位につながるからです。リーダーとは、まず自らが模範となる存在でなければなりません。自社がどのような製品を作っていようと、「環境に配慮している」といった虚偽の主張は絶対に避けるべきです。EUは「グリーンウォッシング(見せかけの環境配慮)」を規制し、罰則を設けようとしています。」 -なるほど。あらゆる面でリーダーシップが問われると。「その通りです。企業のリーダーは、多様な形で革新を起こし、あらゆる場面でリーダーシップを発揮する必要があります。たとえば、消費者向けのビジネスであれば、マーケティング手法を見直すべきです。ノベルティを配るにしても、それが持続可能な方法なのかを考えるべきです。さらにEUでは、2025年から大企業に対して「直接・間接的な排出量の報告」が義務化となりましたが、これは単なる規制ではなく、ビジネスモデルそのものを「持続可能で、かつ、未来に適応できる形」へと変えていく動きです。地球規模での視点が求められています。-それは、会社全体に浸透していなければ意味がないですね。「その通りです。サステナビリティを組織全体に根付かせ、すべての社員にとって信頼できるものでなければなりません。新入社員であれ、幹部であれ、リーダーが「口だけ」なのかどうかは、すぐに見抜かれてしまいます。だからこそ、「本気で実践している」姿勢が不可欠です。そして最後に強調したいのは、「サステナブルであることが、企業の独自の価値提案になる」という点です。これは単なる理想論ではなく、ビジネスチャンスでもあるのです。そのためには、こうした分野にきちんと教育を受けた人材が必要です。NECSUSのカリキュラムにも、その視点がしっかり含まれていると感じました。」