投稿日:2025.10.24 最終更新日:2025.10.24
世界気候エネルギー首長誓約/日本 杉山範子事務局長 紙上インタビュー
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NECSUS STAFF
Q1 気候変動により予測される悪影響と、それに対する地域の対応につき、具体例を教えてください。
悪影響は、地域の気候や産業など、地域性があるため、一様ではありませんが、最も一般的に実施されているのは、熱中症予防対策と防災対策です。
予測される悪影響は、例えば熱中症の場合は、暑熱による健康影響を受ける、最悪の場合は死亡する。これを避けるため、地方自治体は「クーリングシェルター」を設置することとなっており、住民が日中の暑さを避けて過ごすことができる場所を提供しています。ほとんどすべての自治体で実施しています。
このページに様々な事例が紹介されています。
https://adaptation-platform.nies.go.jp/data/index.html#data01
他に、グリーンカーテンの設置を推奨し、コンテストを実施しているところなどがあります。
Q2 上記に係り、世界首長誓約の意義、現状と課題を教えてください。
誓約自治体は、規模の大小にかかわらず、緩和策である脱炭素の取組だけでなく、適応策にも取り組まなければならないため、地域の適応策が進みます。
世界首長誓約では、地域のリスクと脆弱性の評価をしてから目標や具体的な対策を決めることとしており、地域性を把握した取組を進めることができます。リスクと脆弱性評価は事務局がアドバイスなど支援することもあります。
気候変動の影響は全ての分野に及びますが、行政の縦割りが弊害になっています。
適応計画は環境の部署が担当ということになり、他の部署との連携が課題です。
防災や農業などすでに適応策と言える施策を実施しているところが多いなか、どのように既存の施策を適応策と位置づけるか、地域の脆弱性から施策の優先順位をどのように決めるのかなど、課題が多くあります。
一般の方々の認知度が、緩和策に比較して、適応策の方が低いことも課題です。