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ーまだ「サステナビリティは流行」だと思っている?ー by Thomas Kolster

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ーまだ「サステナビリティは流行」だと思っている?ー by Thomas Kolster | NECSUS GREEN FILE

サステナビリティは、オーツミルクやフィジェットスピナー*のように、一過性のブームなのだろうか。

もし2025年にも同じ問いを投げかけているとしたら、すでに時代の文脈を見誤っているかもしれない。

私はWARCと協働し、2014年から2024年までの10年間にわたる「WARC Effective 100」のデータを分析した。10年分のデータが、まったく違う物語を語っている。これは、世界中の広告賞の中でもっとも効果的と評価されたキャンペーンを指標化したものだ。

そのランキングを精査し、社会的あるいは環境的メッセージを含むキャンペーンを抽出したところ――結果は明快だった。

全体の約3分の1が、そうしたテーマを扱っていた。年ごとの割合は2015年の19%から、2021年の39%まで変動していたが、注目すべきはその「波」ではなく、「継続的な存在感」そのものだった。

「審査員が“いい話”に弱いだけでは?」

そう思う人もいるだろう。しかし10年にわたって持続的に評価されてきた事実は、より深い構造変化を示している。

これは気まぐれなマーケティングの潮流ではない。広告産業のDNAが、根本から書き換わりつつあるのだ。

サステナビリティ、多様性、インクルージョン。

それらはもはや“クリエイティブな飾り”ではない。ブランド戦略の中核を形づくる要素である。

化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が世界規模で進むように、広告もまた独自の進化を遂げている。

かつては急進的に見えたDoveの「Real Beauty」やBenettonの挑発的な広告が、いまではメインストリームの象徴になっている。

感情は機能を超える――結果もそれを裏づける

ブランド構築において、感情に訴えるキャンペーンが機能訴求型を凌駕する――これは昔から知られてきた真理だ。そしてWARCの分析をはじめ、業界のあらゆる調査がそれを繰り返し確認している。

今日、もっとも効果的な広告は、製品機能ではなく「価値・アイデンティティ・目的」を語るものだ。

たとえば、Alwaysの「#LikeAGirl」キャンペーン。

羽の形状や吸収力を説明する代わりに、文化的な侮蔑表現をエンパワーメントのメッセージに変えた。

それは単に商品を売るだけでなく、社会の会話を変え、人々の感情とつながった。
一方で、技術的な製品デモを思い出せるだろうか?

どちらが記憶に残り、共有され、何年も後に語り継がれるだろう?

これは「タイムマシン」で戻れる瞬間ではない

今回の分析結果は、まさに転換点で明らかになった。
世界中――特に内向きになりつつあるアメリカ――では、社会的・環境的な進歩を巻き戻そうとする動きが見られる。

だが、データは別の物語を語っている。
消費者の意識は後退していない。
人々は依然として、自分たちの生活を形づくる課題に対して「企業が先導すること」を期待しているのだ。

そして、その多くはサステナビリティそのものに関わる。
食料品の価格、エネルギー費、交通の脱炭素、水質。
企業が「2035年までにネットゼロ」といった曖昧で遠い未来を語っても、人々の心には届かない。

いま、目に見える形で行動するブランドこそが共感を得ている。

今月初め、英ガーディアン紙が「89%プロジェクト」を立ち上げた。
これは、世界の8~9割の人々が気候対策の強化を支持しているという調査結果を紹介するものだ。

つまり、これは一部の過激派の声ではなく、“多数派の意思”である。
WARCで評価されたSK-IIやDoveなどのブランドは、こうした社会意識と歩調を合わせるだけでなく、長期的なインパクトを生み出している。

長期思考が勝利する

政治の風向きがファッショントレンドより速く変わる時代に、
マーケターは“今っぽさ”を追いかけたくなるかもしれない。
だが、持続するブランド価値は「文化のポケモン狩り」では築けない。
一貫性、明快さ、そして勇気によってこそ培われる。

サステナビリティはギミックではない。
それは、もっとも効果的なブランドが未来を定義するためのレンズである。

――これは流行ではない。本物の「持続力」そのものである。

*ボールベアリングを利用した玩具。ハンドスピナー。

次回もどうぞお楽しみに。

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