セミナー

blog
「誠実な企業が報われないのはなぜかーパーパスと競争優位から考える環境経営-」アフターセミナー 紙上インタビュー by 片山郁夫  | NECSUS GREEN FILE

「誠実な企業が報われないのはなぜかーパーパスと競争優位から考える環境経営-」アフターセミナー 紙上インタビュー by 片山郁夫 

6/25(土)のNECSUS特別セミナーに登壇した片山郁夫先生に、アフターセミナーインタビューを行ないました。 片山郁夫先生プロフィール ・立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 特任教授 ・特定非営利法人 環境経営学会 副会長 ・SOMPOビジネスサービス株式会社 常勤監査役 ・博士(サステナビリティ学) Q.環境経営の必要性が高まる中、「正しく」かつ「勝てる」経営理念の統合、浸透、実践のサイクルを回すには、今まで以上のスピードと大胆な方向転換が求められそうです。この状態で、経営者はどのような資質をどう高めるべきか、そしていかに組織をまとめていくかにつき、お考えをお聞かせください。 A.私は、これまでの企業人としてのキャリア、環境経営学会での活動、そして現在の常勤監査役としての視点を通じて、数多くの経営者の葛藤と意思決定の現場に向き合ってきました。その中で私が考える、これからの激動の時代を生き抜く経営者に求められる資質は、大きく三つあります。 第一に、「理念を『判断軸』として使う力」です。 不確実性が高まり、あちらを立てればこちらが立たないような複雑な経営環境では、「何を大切にする会社なのか」という経営理念やパーパスが判断の最後の拠り所になります。しかし、パーパスは掲げること自体が目的ではありません。日々の苦しい意思決定の現場で、それを具体的な「判断軸(拠り所)」として実際に使いこなすことが大事なのです。言葉が飾りではなく、組織を動かす実践的な判断軸になったとき、目指す方向はブレなくなります。 第二に、「矛盾や葛藤の中で、自らをアップデートし続ける力」です。 現代のビジネスには「一つの正解」などというものは存在しません。既存事業の維持と新規事業・新規投資のバランス、短期的な利益の確保と中長期的なサステナビリティへの対応など、経営者が直面する課題は常に矛盾をはらんでいるからです。「私は正しい」と過去の成功体験や正論に固執するのではなく、むしろ、変化する社会の要請や顧客、環境、そして現場の従業員との対話から学び続けること。自らの常識を疑い、思考をアップデートしていく柔軟な姿勢こそが不可欠です。変化する社会の要請や顧客、環境、そして現場の従業員との対話から学び続け、自らの常識を疑い、思考をアップデートしていく柔軟な姿勢こそが不可欠です。 第三に、「理念を現場の『行動』へと翻訳する力」です。 どれほど立派な経営理念や戦略を経営トップが唱えても、それが現場の日々の判断や評価制度、組織文化にまで落とし込まれなければ、社員の行動は変わりません。経営者の真の役割は、大義を語ること以上に、「利益が一時的に減るかもしれない、あるいはルールとの狭間で悩むこの泥臭い場面で、私たちはどう判断すべきか」という課題に対して経営者としての具体的な姿勢を示し続けることにあります。つまり、理念を「綺麗な言葉」から「一貫した組織の行動」へと翻訳することです。 先日のセミナーでもお話しした通り、「正しいこと(大義)」と「勝てること(利益)」は対立するものではなく、その矛盾や葛藤を抱えながらも、科学的思考、すなわち事実やデータ、対話を踏まえながら統合していくべきものです そして、私はここで一つ強調したいことがあります。企業の中で組織や部署を預かり、日々現場の矛盾や板挟みと戦っている多くのビジネスパーソン(ミドルマネジメント層)にこそ、全く同じことが言えます。トップの想いを深く汲み取りながら、それを現場の納得感ある「行動」へと翻訳していく役割こそが、実質的に組織を動かすからです。 経営者、そして現場のリーダーたちが葛藤の中で一貫した意思決定を積み重ね、その真摯な姿勢を組織に示し続けることが、環境経営、ひいては企業経営そのものを持続可能な「競争優位」へと昇華させていくことだと考えます。 最後に、環境経営は、単なる「環境のための特殊な経営」ではないと思います。それは、「100年後も、社会や顧客、環境、そして従業員から必要とされ続ける企業をつくるための経営」そのものです。言い換えれば、「正しいこと」と「勝てること」を統合し、持続可能な競争優位を実現していく経営です。そう考えると、環境経営とはサステナビリティ経営を実現するための実践そのものと言えるのではないでしょうか。 サステナ博士のビジネスラボ https://note.com/sustaina_hakase/n/n385d71678032 も合わせてお読みください。

「想いを事業に変える」 フィノーカル株式会社 代表取締役 内山大志 アフターセミナー 紙上インタビュー | NECSUS GREEN FILE

「想いを事業に変える」 フィノーカル株式会社 代表取締役 内山大志 アフターセミナー 紙上インタビュー

上記タイトルでNECSUS特別セミナーで登壇した内山大志さんに、セミナー内容を受けての紙上インタビューを行ないました。 Q1.「想いを事業に変える」には、リーダーシップの取り方や組織作りが重要と考えます。自らの経験を基に、留意すべき点をいくつか挙げてください。 A1. 想いを事業に変える際は、「想いだけでは続かない」と捉え、単発の善意ではなく循環する仕組みに落とし込むことが大切です。創業支援の経験からも、リーダーは理念を語るだけでなく、同じ課題意識を持つ人との関係性を育て、対話・役割分担・個別支援を通じて挑戦の土台を整える必要があります。 「想いを事業に変えていく組織」の経営にあっては、資金繰りは元より、社員・取引先・資金提供者・社会といったステークホルダーとの調整、失敗後の責任まで引き受け、社会性と経済性の間で悩み続ける覚悟が重要だと考えています。 Q2. 事業内容や規模により、資金調達方法は異なるとのことですが、一般論としてそれぞれの特徴を教えてください。 A2.資金調達は、事業内容と組織形態で特徴が異なります。中小企業型の株式会社は事業収益・出資・融資が中心で説明しやすく、スタートアップ型は第三者割当増資等で大きく調達しやすい一方、成長と投資家リターンの責任が重くなります。合同会社は定款自治の観点から組織設計の自由度が高いですが、株式の発行による資金調達ができないため、大規模な資金調達には不向きです。一般社団法人・一般財団法人・NPO法人は寄付、会費、事業収益等を使いやすく共感を得やすい反面、意思決定や情報開示が重要となるため初期段階では事務負担が大きくなります。 また、資金調達には、それぞれの組織形態に適した手法が様々にありますが、それぞれに特徴があり、正解を一つ選ぶより事業に合わせた組み合わせが肝要です。

サステナ経営戦略を財務とつなぐ -本当のPBR(株価純資産倍率)対策、ICPと財務指標のコラボレーション- アフターセミナー紙上インタビュー&解説   講師:柏原岳人(柏原総合環境会計事務所 代表 税理士 コンサルタント) | NECSUS GREEN FILE

サステナ経営戦略を財務とつなぐ -本当のPBR(株価純資産倍率)対策、ICPと財務指標のコラボレーション- アフターセミナー紙上インタビュー&解説   講師:柏原岳人(柏原総合環境会計事務所 代表 税理士 コンサルタント)

【編集部】この度の企画は、第1回2月7日開催の導入編、第2回3月7日開催の実践編、今回の第3回4月25日の応用編を開催してきました。 第1回(2月7日:導入編)サステナ戦略と財務をつなぐインターナルカーボンプライシング(ICP) 第2回(3月7日:実践編)GX戦略に不可欠な損益計算書と貸借対照表をICP分析で読み解く 第3回(4月25日:応用編)本当のPBR(株価純資産倍率)対策、ICPと財務指標のコラボレーション 今回の第3回(4月25日:応用編)「本当のPBR(株価純資産倍率)対策、ICPと財務指標のコラボレーション」を開催しました。 【編集部】サステナビリティに関する事象は国際的動向と連動し不確実性が高く、また制度面も評価が定まるまでに時間を要すると認識しています。このような状況下で、サステナビリティ要素を経営分析・意思決定に反映することは、実務上かなりの複雑性を伴うと考えます。どのように捉えるべきでしょうか。 【柏原】個別の企業経営を好転させる、個人のスキルアップを図る、ために今回のような講義を受けてみようと考える際に、どうしても特定のスキルなど近視眼的に役に立つ内容だけに目が行きがちです。しかし、深い理解で長期的な成果を獲得する主体は、長期的な背景を深く理解し、本質的な潮流を掴んで付加価値を継続的に産み出しています。今回の講義でより深い理解をしていただきたい背景は、「実体経済の景気循環とインフラとしての開示基準」という論点です。景気循環について基礎知識としては、下記のような学説区分をまずはご理解ください。ネーミングは主要な学説提言者に因ります。 キチン・サイクル (短期・在庫循環) 期間: 約3〜4年(約40ヶ月) 要因:企業の在庫投資の増減。需要増に応じた積み増しと、過剰在庫による削減。 ジュグラー・サイクル (中期・設備投資循環) 期間: 約10年 要因:企業の機械・工場などへの設備投資。企業の業績変動に大きな影響を与える。 クズネッツ・サイクル (長期・建設循環) 期間: 約20年 要因: 住宅やオフィスの建設投資。人口動態や都市化に関連する。 コンドラチェフ・サイクル (超長期・技術革新循環) 期間: 約50〜60年 要因: イノベーション(技術革新)。新しい産業の創出が経済を牽引する。 気候変動の例を採りますと、1997年に開催された京都議定書からパリ協定で設定されている2050年のカーボンニュートラル目標は、GHG(温室効果ガス)やエネルギー問題に関する超長期の技術革新を想定したコンドラチェフ・サイクルを前提としたプロセスです。この循環では、数回の紆余曲折を想定しなければなりません。 この超長期循環の中には、クズネッツ・サイクルが2~3回入ります。1996年に環境ISOが開始し環境マネジメントシステムを世界に普及させ今や当然の存在になりました。2013年にIIRCが国際統合報告フレームワークを提言し財務資本と非財務資本(自然/製造/社会関係/人的/知的資本)の概念を明確にしました。2023年にはIFRS財団がISSB基準を提示してサステナビリティ開示のグローバルスタンダードの形成に乗り出しました。 これから2050年までの期間で財務関連情報としてのサステナビリティ開示が成熟していくことが想定されています。この期間のプロセスイメージは、図解1「財務関連情報としてのサステナビリティ開示を成功させるための思考法」をご覧ください。 スクリーンショット 2026-05-15 01.12.27 2026年の現状は、上場企業が発行する「統合報告」と「財務報告」という異なる報告内容を並列して関連性を説明していく段階です。統合:Integrationの段階は、財務関連情報の範囲は限定的でサステナビリティを実現すべき当事者としての報告責任を果たしている範囲も限定的です。この統合段階からISSB-SSBJ基準などの諸改革をクリアしながら、サステナビリティ開示に関連する各要素を再構築していく段階に突入していきます。 この再構築の際に必要な要素が、気候変動関連の取組みにおける触媒としてのICPです。各取り組みテーマにおける「触媒」たる存在についてマスターしていくことがこれからのカギになります。この段階は、触媒を用いて各要素を再構成して結合させていく合成:Syntheticのプロセスと捉えられています。最終的に「統合報告」と「財務報告」とを明確に区別しない報告形態の状態を融合:Fusionの段階と捉え、この着地点に向けたプロセスが、実体経済のクズネッツ・サイクルとリンケージして進行していく想定をしておいてください。 【編集部】本来は全社的な中長期経営計画の中で統合すべきテーマと理解しておりますが、現実的にはまず情報開示の整備・高度化を起点として、「サステナ経営戦略と財務の接続」を段階的に進めていくアプローチが有効と考えます。この理解について見解をお伺いできますでしょうか。 【柏原】2026年の段階をどのように捉えるかは、企業の規模と背負うべき責任によって異なってくると考えます。プライム上場で時価総額も大きく、数多の、多種多様なステークホルダー、に対して責任を負う巨大企業は、図解1で示した「統合:Integration」から「合成:Synthetic」へ移行しなければならない段階に立脚しています。サステナビリティ開示のテーマを各々財務とどのようにリンケージしていくべきか分析し段階的に再構築していくことが求められ、各テーマにおける「触媒」たる存在を突き止め、「融合:Fusion」の段階に進む準備を見定めておくことが最も理想的です。気候変動におけるICPは、触媒として先行して構築されつつあるので他のテーマにとってマスターすべき項目です。 上場企業でも巨大企業ほどではない存在においても「統合:Integration」の段階に長々と停滞することは様々な損失を産みます。企業の規模と背負うべき責任の違いに基づき、段階的に「合成:Synthetic」へ移行することを準備しなければなりません。 【編集部】サステナビリティ関連の投資判断において、「ROIC>WACC(ハードルレート)」を基準とする考え方は非常にシンプルで有用と理解しています。一方で、ROICを精緻に算出できる単位は実務上、事業部レベルが限界ではないかとも感じておりますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。 また、仮に事業部または全社単位で評価する場合、ROICとWACCの差(スプレッド)については、企業や事業のライフステージによって求められる水準が異なるとの理解でよろしいでしょうか。 【柏原】「事業部レベルが限界ではないか」という感覚は非常に的を射ています。生態系から得る資源に関する制約が益々顕在している経済環境が暫く続く予想の中では、事業内容を見直すプロセスでROICをきめ細かく適用していくことが成功のカギになります。上場企業では東証からの要請もあるので是非ともきめ細かく取り組んで欲しいです。事業規模を拡大する、上場する、持続可能な成長を目指す、ならば、事業部レベルで留まる感覚では未来に大きな足枷となることでしょう。 図解2「企業のライフステージ/事業セグメントの成長プロセス」をご覧いただくと、現状が成長助走期に位置していたとしても、先々のステージではROICを自由自在に使いこなしていかなければなりません。また、図解2をご覧いただけると、ライフステージ/成長プロセスに応じて求められる分析項目と分析ポジションは異なります。上場企業に対する東証からの要請である「ROE:自己資本利益率8%、PBR:株価純資産倍率1倍以上」というラインは最低目標であり、ここで立ち止まらず、高みを目指してもらわなければなりません。 【編集部】聴講された皆さんにとっても、基本と実務とを往来しながら理解を深めていく、どなたにも満足度の高いセッションだったのではないでしょうか?ご参加にお礼申し上げます。

2026/2/7  サステナビリティ開示に関心がある皆様、必聴! NECSUS特別セミナー開催「GXの新常識:サステナ経営戦略と財務をつなぐ」 | セミナー

2026/2/7  サステナビリティ開示に関心がある皆様、必聴! NECSUS特別セミナー開催「GXの新常識:サステナ経営戦略と財務をつなぐ」

NECSUS特別セミナー 『GXの新常識:サステナ経営戦略と財務をつなぐーインターナルカーボンプライシング(ICP)導入編ー』 柏原岳人(柏原総合環境会計事務所 代表税理士) 2026/2/7(土)10:00am-11:00am オンライン開催 脱炭素やサステナビリティへの対応が、企業経営において「理念」ではなく「経営判断そのもの」として問われる時代が到来しています。本セミナーでは、GX時代の新たな経営の軸として注目される「インターナルカーボンプライシング(ICP)」を切り口に、サステナビリティ戦略と財務をどのようにつなげ、実践に落とし込むのかを分かりやすく解説します。 環境対応がコストではなく、投資判断や経営戦略にどう活かせるのか――環境会計・サステナビリティ情報開示の第一線で活躍する税理士・柏原岳人氏が、制度動向から実務のポイントまで、初めての方にも理解しやすくお伝えします。環境・財務・経営のいずれかに関心のある方にとって、これからの企業経営を考えるヒントが得られるセミナーです。 お申込みはコチラから

Contact

お問い合わせ

お電話またはメールフォームより、お問い合わせを受け付けております。
お気軽にご連絡ください。

お問い合わせ